2010.11.28記
一旦は完結した「煙詰創作メモ」ですが、とあるきっかけで、逆算が困難な局面とはどういうものなのかを考えてみるのも重要だと教えて頂いたので、今後少しずつ考えていこうと思います。とりあえず思いついたことを書いてみます。後半は完全に脱線してしまってますが(笑)

逆算が難しい局面とは

攻駒の固定化

この局面から逆算を進めることを考えてみたいと思います。結論を先に言ってしまうと、この局面から逆算をするのはかなり大変です。何故でしょうか? 原因は玉の行動範囲を狭めている駒(今回は72竜と33香)が固定化されてしまっているからです。ここでいう固定化、とは、現在の位置にその駒がくるような逆算が難しいという程度の意味です。 例えば33香の配置に着目してみましょう。(ここでは説明の簡単化のためとりあえず33としていますが、34〜39でもよいです。任意性。)33香を打つ逆算が入ればよいのですが、例えば上図から単純に▲33香△41玉という逆算を入れようとしても、それはできません。理由は簡単で、▲33香に△21玉と逃げられてしまうからです。 ということは、この33香は当面盤上に居座ることになりそうです。玉の行動範囲を狭めたまま。 一方で72竜を見てみると、こちらも72に竜がくるような逆算が難しいことがわかります。61に玉がいるときに72竜と行く逆算は、72に攻方の利きがないので入りそうにもありません。また、52に玉がいるときに、51銀や51角といった攻駒を配して72竜と行く逆算が入ればよいのですが(これは部分的には定番の逆算方法です)、上が抜けているのでこれも無理でしょう。ということは72竜も動かすことができません。 このように、玉の行動範囲を狭めている駒を動かすことができないときには、往々にして逆算が困難になります。 ところで、香の位置を1路ずらすだけで、事情はガラリと変わります。

これならば▲23香と打つ逆算を簡単に入れることができるので、何とかなりそうな気がします。しかし、72竜がどうやって移動してきたのかを逆算の過程で解決する必要があります。 脱線ですが、また、詰上がり図も少し違う(▲82竜▲52成香△61玉)のですが、創作テクニックとして参考になる解決法の例を。
添川公司氏作「渚」、近代将棋 2005年7月号、111手詰
添川公司氏作「渚」、近代将棋 2005年7月号、111手詰 図は88手目△61同玉まで
詰上がり図から逆算を進めて上図に。玉は相変わらず1段目を這いつくばることしかできないので、そろそろ竜を動かしたいところです。しかし、上部が抜けているので▲82竜の逆算を入れるのは難しそうに見えます。さてどうするのでしょうか?
図は83手目▲82竜まで
駒取りの逆算を挿入し、玉方の駒(△64成香)を置くことで▲82竜の逆算を入れることに成功しました。64の成香が上部脱出を防ぐ壁になっているというわけです。実にスマート。
inserted by FC2 system